植物のある暮らしは、
その答えを見つけていく物語です。 マンションのエレベーターホールでの |
みどりさん
「あら、西村さん。お疲れ様です。」
西村さん
「みどりさん、こんにちは。
ああ、じつは本当に疲れちゃってるんです…
あ、お会いした早々に愚痴ってごめんなさい」
みどりさん
「どうかしました?」
西村さん
「さくらのことで。
高校受験が近いもんですから
最近はピリピリしていて、
親の言うことにもすぐに反発するんです」
みどりさん
「さくらちゃん中学3年生でしたよね。
まなぶが学童でお世話になっていた時は、
すっごく優しかったですよ」
西村さん
「今は、最近どうなのみたいな話を
しただけでも『うるさい』って。
食事中も携帯を見てばかり」
みどりさん
「よかったら、うちでお茶でもしませんか?
ちょうど素敵なハーブティーがあるんです」
西村さん
「あ、でも、お仕事とか…」
みどりさん
「大丈夫ですよ。今日は予定ありません。
ほら、このマンションに越してきて
ずいぶんになりますけど、
ゆっくりお話するの初めてかも」
西村さん
「そうですね。
いつもエレベーターホールで会うだけで」
みどりさん
「西村さんのお料理の話は
時々聞かせてもらってましたよ。
さくらちゃんのために、栄養バランス考えた
お弁当作ってくれるって、さくらちゃんから」
西村さん
「それが最近は『お母さんのお弁当、量が多い』
とか言われちゃって」
みどりさん
「はい、どうぞ上がってください。
ハーブティー、入れますね」
西村さん
「いい香り。それに、
ベランダの植物がすごく素敵」
みどりさん
「ありがとうございます。
以前は、この部屋に植物なんて
1つもなかったんですよ」
西村さん
「今は、まるで小さな植物園みたい」
みどりさん
「そうなんです。私、昔は本当に無趣味で。
夫にも『趣味の1つもない人生でいいの?』
って言われて喧嘩になったくらいで」
西村さん
「まさか。今のみどりさんからは想像できません」
みどりさん
「でも、あるときボタニカルライフプランナーという
資格のことを知って。何となく受講してみたら…
これが人生を変えちゃいました」
西村さん
「ボタニカルライフプランナー?」
みどりさん
「植物を暮らしに取り入れて、生活を豊かにする方法を
提案できる人のことなんです。
あ、このハーブティー飲むと、リラックスしますよ。」
西村さん
「確かに、なんだか心が落ち着いてきます」
みどりさん
「これ、受験生にもおすすめなんです。
さくらちゃんも、勉強の合間に飲んでみると良いかも」
西村さん
「植物って、受験勉強に関係あるんですか?」
みどりさん
「もちろん。
例えば、机に小さな観葉植物を置くだけでも、
心が和むんですよ。
まなぶの机にも、ミニサイズのペペロミアを置いてます」
西村さん
「そうなんですか。
でも、さくらは最近、机に向かうのも嫌がって」
みどりさん
「さくらちゃんと一緒に
植物を選びに行くのはどうでしょう?
『受験勉強のため』じゃなくて、
『お部屋のインテリア』として」
西村さん
「一緒にですか?」
みどりさん
「はい。植物を育てると、
毎日の小さな変化に気づけるんです。
新芽が出た時なんて、思わず誰かに教えたくなる。
それが、親子の新しい会話のきっかけになったりして」
西村さん
「私、最近焦ってばかりで
そういう余裕もなかったなぁ…」
みどりさん
「私、最初は下手だったんです。
植物って、構いすぎても、
放っておきすぎても育ちません。
子育ても同じかもしれませんね」
西村さん
「私もさくら相手に、強くしすぎてたのかも」
みどりさん
「このラベンダーの香りのスプレーもおすすめですよ。
勉強机の周りにシュッとひと吹きするだけで、
リラックスできます」
西村さん
「みどりさんって、本当に植物のことが好きなんですね。
話している時の表情が、すごく生き生きしています」
みどりさん
「すみません。植物の話が止まらなくなっちゃって」
西村さん
「いいえ、むしろ聞いていて楽しいです。
私も、この資格に興味が出てきました。
さくらと一緒に観葉植物も、見に行ってみます」
みどりさん
「植物との出会いって、いいものですよ」