みどりさん
「まなぶ、元気ないね。何かあったの?」
まなぶ君
「別に…」
みどりさん
「お母さんにはわかるよ。
何か悩んでるんでしょ?」
まなぶ君
「…たけしとケンカした」
みどりさん
「たけし君と?どうして」
まなぶ君
「昼休みに、僕が植物図鑑の
花のページを見てたのを
たけしが見て笑ったんだ。
『男なのにそんなの好きなの?』って」
みどりさん
「それで?」
まなぶ君
「僕も『何が悪いんだよ!』
って言い返したら、
向こうも言い返してきて、それで….」
みどりさん
「そっか。たけし君とは仲直りしたい?」
まなぶ君
「したいけど、どうすればいいかわかんない。
謝るのはちょっとなあ。
なんか、負けたみたいだし」
みどりさん
「ふむ。それなら、お母さんに
ちょっとアイデアがあるんだけど、聞く?」
まなぶ君
「アイデア?」
みどりさん
「うん。たけし君に何かインパクトのあるものを見せて、
まなぶが植物を好きな理由を伝えるのはどうかな」
まなぶ君
「インパクトのあるもの?」
みどりさん
「そう。たけし君が
『すごいな、かっこいいな』って
思うようなもの。
お母さんね、男の子って、
自分が知らないことに触れて驚くのが好きだと思うの」
まなぶ君
「たとえば?」
みどりさん
「たとえば、まなぶが育てた植物を使って、
ちょっと実験っぽいことをしてみるのはどう?」
まなぶ君
「実験?」
みどりさん
「うん。ほら、このミント、
すごくいい香りがするでしょ?
この葉っぱを使って、
たけし君に驚いてもらえるような
『虫よけスプレー』を作るとかどう?」
まなぶ君
「虫よけスプレー?作れるの?」
みどりさん
「作れるよ!ミント類には虫が嫌がる香りがあるから、
それを使ってスプレーにすると、
夏場にとっても便利なの。」
まなぶ君
「へえ…。それって、
たけしに渡したらどうなるかな?」
みどりさん
「『これ、俺が作った。
お前、キャンプのときに使ってみろよ』
って渡したら、絶対カッコいいと思うな」
まなぶ君
「たけし、キャンプ好きだしな」
みどりさん
「そうでしょ?植物はただ見るだけじゃなくて、
ちゃんと役に立つものだって
知ってもらういい機会かもよ」
まなぶ君
「でもさ、作るの難しくない?」
みどりさん
「全然!お母さんが手伝うから、
すぐできるよ。ミント(ペパーミントか薄荷の葉っぱと
その精油をエタノールに入れてから、
水を混ぜるだけ。
簡単だけど、ちゃんと効果があるんだから」
まなぶ君
「やってみようかな。
でも、たけしに笑われたら?」
みどりさん
「大丈夫!笑われる前に、
カッコよく渡しちゃえばいいのよ。
『これ、お前、使ってみろよ。
俺が作ったから』ってね」
まなぶ君
「ちょっとカッコいいかも」
みどりさん
「でしょ?さあ、やる気が出てきた?」
まなぶ君
「やってみる。でも、本当にたけしが喜ぶかな?」
みどりさん
「大丈夫。植物が好きなまなぶが
一生懸命作ったものだもん。
たけし君も絶対見直すよ」
まなぶ君
「わかった。お母さん、手伝ってね」
みどりさん
「もちろん。
カッコいい虫よけスプレー作って、
植物の力を見せてやれ!」